BP統計

混乱と成長の一年が示す 開かれたエネルギー市場が安定の鍵

2012年6月13日
BP p.l.c.(ビー・ピー・ピーエルシー)
『BPエネルギー統計2012年版』(BP Statistical Review of World Energy 2012)―第61回の年次レポートが本日発表されます―は、供給の混乱と右肩上がりの需要、この2つが2011年のエネルギーを語るうえで大きなポイントであると強調しています。

最も注目されるのは、「アラブの春」が石油・ガスの供給に影響を与えたこと、とりわけリビアからの供給が一時的にせよ完全に途絶えたことですが、その一方で、日本の福島における悲劇的な事故が世界中の原子力その他のエネルギー源に波及効果を及ぼしました。これらの出来事による衝撃が世界の大半の地域でエネルギー価格を押し上げ、石油価格は史上初めて1バレル当たりの平均価格が100ドルを超えるという記録的な高値を付けました。

その一方、背景にある長期的傾向は継続しています。世界のエネルギー消費の伸びはこれまでの平均値に近い2.5%を記録し、新興国は世界の消費に占める割合を伸ばし続けています。昨年、OECD諸国(OECD=経済協力開発機構)のエネルギー需要は0.8%ほど縮小しましたが、一方、新興国では5.3%拡大しました。

「私たちは短期的な混乱に対処しつつ長期的な需要にも応えようと努力していますが、それには開かれた市場が力強い味方になってくれるということを覚えておくべきでしょう」と、BPグループ最高責任者のボブ・ダッドリーはエネルギー統計発表会の冒頭で述べています。
市場は「昨年の混乱に対処する力を世界が発揮するために不可欠な柔軟性を提供しました。時間が経つにつれて、市場では競争、イノベーション、成長という連鎖反応が起こります。この連鎖反応が安定した安価なエネルギー供給を生み出します。これこそ政府と消費者が求めているものです。

「現在うれしいことに、すべての分野にわたって競争、イノベーション、成長という連鎖反応が結果を生んでいます。シェールガス、深海の石油・ガス、重油なども結果が生まれている分野の一部であり、次世代バイオ燃料もそうなる可能性があります」とダッドリーは述べました。

ダッドリーは米国の例に注目しました。米国では、シェールガス革命により天然ガスの価格が下がり、石油価格の記録的な値下げに至りました。そのうえ、シェールガス液の生産により、米国の石油生産量はOPEC諸国(OPEC=石油輸出国機構)以外では3年連続で最大の増加となりました。

米国のこの経験が示しているのは「開かれた競争環境が技術革新を促し、資源の供給を可能にするということです。政治家はこの例にならい可能な限り競争を推進すべきです。それが米国の例から学ぶべき教訓だと思います。」

競争がイノベーションを生み出し成長に至る連鎖反応は、「各国に国内資源の開発を可能にするとともに活力あふれる世界市場を下支えして、エネルギー安全保障を支える」という働きもあります。

市場の概況

BPチーフ・エコノミストのクリストフ・ルール(Christof Rühl)は、データを示しながら2011年の背景を大まかに説明しました。「政情不安と暴力がアラブ世界の一部で石油・ガスの生産停止を引き起こしたこと。日本の福島原発の停止、ならびに地震に関連する日本の石炭火力発電の減少に加え、その後も日本とヨーロッパでさらに原子炉が停止されたこと。年間平均石油価格が初めて100ドルを超えたこと。2005年以降初めて戦略的石油備蓄が放出されたこと。OPEC諸国の増産が2008年以降最大になったこと。ヨーロッパの超異常気象。オーストラリアの大洪水が石炭生産に損害を与えたこと――退屈どころではない1年でした。

「それにもかかわらず、年間のデータにはいつもと違うことを示すものはありません。実際、昨年のGDPとエネルギー消費の伸びは長期的な平均値に落ち着きました」

ルールはこのような結果になった要因を次のように説明しています。「燃料の切り替え、需給の反応、取引のパターン。これら3つの主な調整装置が働いたのです。原油供給の増加、とりわけサウジアラビアからの供給増と、取引と世界の精製システムの柔軟性が相まって、ヨーロッパではリビアからの供給が停止した軽質油の不足分をサウジアラビアの重質油で補うことができました。ヨーロッパからアジアへ天然ガスが回されたおかげで、日本で失われた原子力エネルギーの不足分を補うことができましたが、そのために欧州各国のエネルギー需要が損なわれることはありませんでした。米国からの石炭の放出――これは非在来型ガスの供給により容易になりました――が、ヨーロッパのガスを補う役割をはたしました。

「2011年には価格が大幅に上昇しました。ブレント原油の年間平均価格は40%上昇。世界の石炭基準価格の単純平均は24%上昇し、ヨーロッパでの上昇が最大、米国の石炭の年間平均価格は米国のガス価格に近付いています。米国のガス価格はシェールガス革命後に低下を続けていますが、その一方、米国以外では、石油価格に連動したガス価格は原油価格が上がったことで急上昇しました」

世界のエネルギー消費は2011年に2.5%伸びました。これはこれまでの平均とほぼ同じですが、2010年の5.1%を大幅に下回る数字です。新興国は純粋な伸びのすべてを占めていますが、OECD諸国の需要は日本のエネルギー消費の急激な低下を受けて落ち込みました。OECDにおける需要の落ち込みは過去4年間で3度目のことです。中国だけでエネルギー消費の伸びの71%を占めています。

しかし、平均値は燃料の種類によって異なる状況を覆い隠しています。石油需要の伸びは、化石燃料の中で最も伸び率が低く、1%に届きませんでした。これに比べて、ガスは2.2%の成長、石炭は化石燃料のなかで年間消費量の伸びが唯一平均を上回り、世界全体で5.4%、新興経済国で8.4%となりました。
化石燃料は市場シェアの87%にのぼり、現在でも市場の大半を占めています。一方、再生可能エネルギーは伸び率が最大とはいうものの、世界合計のわずか2%を占めるにとどまっています。どの化石燃料がどの程度の割合を占めるのかについては、世界のエネルギー利用の33.1%を占める石油が12年連続でシェアを失っている現状では、今後も変化が続きます。石油消費は、平均的な伸びが日量60万バレル(0.7%)を下回ってから、日量8,800万バレルに達しました。

リビアなどからの石油供給が停止しましたが、中東OPEC諸国の大幅な増産で結局は十二分に相殺され、それによりサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールでは記録的な石油生産量へとつながりました。

ブレント石油価格は2010年を平均40%上回り、初めて1バレル100ドルを超えました。1バレル111ドル26セントの価格は、インフレ調整後の価格としては史上2番目の高値でした。最高値は1864年に付いたものです。原油価格はリビアからの供給が底をついた4月に最高値を付け、基準油種であるブレント原油とウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油の価格差は、北米のインフラが障害となりこれまでで最大となりました。

ガス価格は石油価格に連動して全体的に上昇しました。ただし、北米では、原油市場および世界のガス市場のいずれに比べても価格は記録的に低廉化しました。

「ここ数年のあいだに世界のエネルギー市場では非常に大きな変化が起こりましたが、天然ガスはその一端を担っています。まず、取引量、特に液化天然ガス(LNG)の取引量の急速な増加は、柔軟性をますます高めるかたちで、セグメント化された地域と結びついてきました。第2に、米国における非在来型資源の開発です。これについては、ガスが次に比較的豊富な資源になる場所はどこかと誰もが考えています。LNGと非在来型資源、いずれの開発も2011年に具体的な形をとりました。偶然にも、これら2つの資源の開発は昨年の混乱への対応で重要な役割を果たしたのです」とルールは述べています。

世界の天然ガス消費は2.2%伸びましたが、北米を除くすべての地域で平均を下回っています。北米では「シェールガス革命」のおかげで実現した低価格が力強い消費の成長を後押ししました。EUのガス消費量は、景気後退、高価格、温暖な天候、再生可能エネルギーによる発電量の増加が続いたことなどにより、9.9%減と記録的に低下しました。

ガスの生産量は世界で3.1%増加しました。米国は7.7%の生産増を記録し、現在は世界最大の生産国です。カタールは25.8%増、ロシアは3.1%増、トルクメニスタンは40.6%増と生産量は急増し、リビアおよび英国での減産(リビアは75.6%減、英国は20.8%減)を十二分に相殺しました。EUにおけるガス生産量の減少は記録上最高のマイナス11.4%でした。

天然ガス取引は4%とやや増加しました。これは液化天然ガス(LNG)の10.1%増にけん引されたものです。カタールの34.8%増はLNGの伸びの87.7%を占めています。
石炭は今回も化石燃料のなかで伸び率が最高となり、炭素排出量に及ぼす影響が予想できます。石炭は現在、世界のエネルギー消費の30.3%、1969年以降最高の割合を占めています。OECDの石炭消費は1.1%減少しましたが、EUでは天然ガスがアジアへ回されたため石炭消費量が3.6%増加しました。価格はすべての地域で上昇しました。

「石炭がこうした推移をたどったのは、生産・取引パターンのひとつが市場の状況に合わせられるということです。このようにして石炭は世界の供給保証をより確実なものとしているのです」とルールは述べました。
原子力発電量は、日本とドイツでの低下(日本44.3%減、ドイツ23.2%減)をうけて記録上最大の4.3%減となりました。水力発電量は1.6%とわずかに増加ました。これは2003年以降最低の伸びです。

日本とドイツで原子力発電所が閉鎖されたことを別にすれば、福島の事故がエネルギー市場に与えた世界的影響は実際には比較的軽いものでした」とルールはコメントしています。

再生可能エネルギー源は、世界のバイオ燃料生産が2000年以降最低の伸び率(0.7%増、日量1万バレル相当)となり低迷している状況で、さまざまな結果となりました。米国では、ガソリン中のエタノールの割合がいわゆる「ブレンド・ウォール(混合率の限界)」に達し、生産の伸びが鈍化しました。ブラジルのバイオ燃料生産はサトウキビの不作で打撃をうけ、15.3%減となりました。

発電に使われる再生可能エネルギーは平均を上回る17.7%増となりました。これは風力エネルギーが25.8%増加したことによるものです。風力エネルギーは初めて再生可能エネルギーによる発電量の半分以上を占め、米国と中国の増加が最大となっています。太陽光発電量は86.3%増加しましたが、とはいえ、そもそもの発電量が非常に少ないのです。

統計データからうかがえるのは、エネルギー利用による地球全体の二酸化炭素排出量は2011年も増加が続いたものの、その増加率は2010年より鈍化したことです。

まとめとしてクリストフ・ルールは次のように述べました。「混乱の1年は一見するといつもどおり成長し、長期的な構造変化と一致しているように思えますが、そこから学ぶべき重要な点がいくつかあると思います。これらは市場の柔軟性を軸に展開しています。増産し、ある種類の燃料の不足分を別の種類の燃料で補い、取引パターンを変える市場の力――市場が持つこうした柔軟性は、市場システムが状況の変化に容易に順応するために不可欠なものとなってきました。市場のこうした機能が働くためには、価格がエネルギー・フローの再配分を誘導する合図として機能する、そうした役割が価格に認められる必要があります。私たちが言いたいことも徐々にしか変わりません。言いたいことのひとつ、それは、エネルギー安全保障の確保における市場の役割をたたえるということです。

数字で見るエネルギー                  2011年

世界の一次エネルギー消費の伸び(2010年は+5.1%)	 +2.5%

…そのうち中国が占めるのは	 71%

OECD諸国の消費の低下	 -0.8%

非OECD諸国の消費の伸び	 +5.3%

化石燃料の市場シェア	 87%

…そのうち石油は	 33.1%

再生可能エネルギーの割合	2.1%

石油

基準油種であるブレント原油
スポットの平均価格/1バレル(2010年の+40%)  $111.26

世界の石油消費の伸び (+0.7%)	 60万 bpd

…OECD諸国の消費の低下	 60万 bpd

…非OECD諸国の消費の伸び (+2.8%)	 120万 bpd

…中国の消費の伸び (+5.5%)	 50万5,000 bpd

世界の石油消費量	 8,800万 bpd

世界の石油生産量 (+1.3%)	 +110万 bpd

…サウジアラビアを含むと	 +120万 bpd

…リビアを含むと 	-120万 bpd
OPEC以外では米国の増産が最大	 +28万5,000 bpd

原油精製量の増加 (+0.5%)	 +37万5,000 bpd

…そのうち非OECD諸国が占めるのは	 +68万5,000 bpd

…そのうちOECD諸国が占めるのは	 -31万 bpd

…米国は(記録上初めて精製品の純輸出国となった)	 +11万 bpd

世界の石油取引	 5,460万 bpd

…そのうち原油は	 70%

世界の石油取引 (+2%)	 +110万 bpd

…その伸びに中国が占める割合	 2/3

…その伸びに精製品が占める割合	 2/3

…中国の輸入は (+13%)	 600万 bpd

輸出の伸びに占める中東の割合	 81%

年末時点の世界の石油確認埋蔵量	 1兆6526億 バレル

…何年分か(現在の生産速度で)	 54.2年

ガス Gas

世界の天然ガス消費の伸び	 2.2%

EUのガス消費の低下(記録上最大)	 -9.9%

世界の天然ガス生産の伸び	 +3.1%

…米国の伸びが最大(現在は最大生産国)	 +7.7%

各国における生産の伸び

…カタール	 +25.8%

…ロシア	 +3.1%

…トルクメニスタン	 +40.6%

以下の国の生産減を相殺

…リビア	 -75.6%

…英国	 -20.8%

…EU全体(記録上最大の低下)	 -11.4%

世界の天然ガス取引の伸び	 +4%

LNG(液化天然ガス)の出荷量の伸び	 10.1%

…伸びに占めるカタール(+34.8%)の割合	 87.7%

世界のガス取引に占めるLNGの割合	 32.3%

パイプラインによる出荷の伸び	 +1.3%

年末時点の世界のガス確認埋蔵量 	 (208.4 tcm) 7360.9tcf

…何年分か(現在の生産率で)	 63.6年

石炭

世界の消費の伸び 	5.4%

世界のエネルギー消費に占める割合(1969年以降最高)	 30.3%

非OECD諸国の消費の伸び	 +8.4%

…中国の消費の伸び	 +9.7%

OECD諸国の消費の低下	 -1.1%

世界の石炭生産の伸び 	+6.1%

…伸びに占める中国の割合	 69%

年末時点の世界の石炭確認埋蔵量	 8,609億3,800万トン

…何年分か(現在の生産率で)	 112年

水力

発電量の伸び	 1.6%

…米国の伸び	 +24.9%

原子力

発電量の低下	 -4.3%

…日本を含むと	 -44.3%

…ドイツ	 -23.2%

再生可能エネルギー

世界のバイオ燃料生産の伸び (+0.7%)	 (石油換算) +1万 bpd

…米国の生産の伸び (+10.9%)	 (石油換算)+5万5,000 bpd

…ブラジルの生産低下 (-15.3%)	 (石油換算) -5万 bpd

発電に使われる再生可能エネルギーの伸び 
Renewable energy used in power generation growth	 +17.7%

…風力エネルギーの伸びを含むと
 (再生可能エネルギーによる発電の半分を初めて超えた)	 +25.8%

太陽光発電の伸び	 +86.3%

エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合
 (2001年は0.7%)	 2.1%

お断り:BPエネルギー統計2012年6月版およびこのプレスリリースに掲載されている石油・ガスの確認埋蔵量に関する一連のデータは、会社レベルで確認埋蔵量を判断するために使用している定義、ガイドライン、慣行――例えば、実務勧告書「石油・ガスの探鉱、開発、生産および撤退活動の会計(UK SORP)」に含まれる英国会計規則に基づくものや、あるいは米国証券取引委員会が発表するもの――とは必ずしも一致していません。また、必ずしも、確認埋蔵量に関するBPの見解を示すものでもありません。これら一連のデータは公式の一次資料と第三者機関のデータを組み合わせて作成したものです。

ご参考:

『2012年版BPエネルギー統計』はウェブサイトwww.bp.com/statisticalreviewでご覧いただけます。 

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