BPエネルギー予測 2035

増加するガス需要、変化するフロー

2014年2月17日
BP p.l.c.(ビー・ピー・ピーエルシー)
世界のエネルギー市場が近年急激に軟化しているにもかかわらず、アジア、とりわけ中国とインドの景気拡大がけん引力となり、今後20年間、世界のエネルギー需要は増加が続くと予想されます。最新版の『BPエネルギー予測 2035』(BP Energy Outlook 2035) によると、2013年~2035年にかけて世界のエネルギー需要は37%増、年平均1.4%で増加するものと予測されます。

『BP予測』では長期的なエネルギー動向に目を向け、今後20年間の世界のエネルギー市場を予測しています。最新版は本日ロンドンにおいて、BPグループ・チーフエコノミストのスペンサー・デール、および最高責任者ボブ・ダッドリーにより発表されました。

「石油の高価格が見かけは安定して3年間続いた後で、ここ数カ月は価格が下落していますが、これを見ると、絶え間ない変化がエネルギー市場の本質であることを痛感します」とスペンサー・デールは述べています。「重要なことは、我々が、短期の不安定な動向を通して、今後20年間のエネルギー部門の方向性を示す需給の長期的動向を見極め、業界と政策当局が取り組むべき戦略的選択肢について、その基本方針の決定に資することです」。

米国のタイトオイルは成長

『BP予測』では、石油需要は2035年まで毎年0.8%程度増加すると考えています。この需要増はすべて非OECD諸国によるものです。一方、OECD諸国の石油消費量は2005年にすでにピークを迎え、2035年までには1986年以前の水準に低下していると予想されます。2035年までに中国は米国を上回り、世界最大の石油消費国になると思われます。

現在の石油市場の軟化は、その大半が米国におけるタイトオイル生産量の大幅増に起因するものであり、この市場軟化に対処するには数年かかると考えられます。2014年、タイトオイルの生産により米国の石油産出量は日量150万バレルの増加となり、米国史上、過去最大の単年増加量を記録しました。しかし今後は、米国のタイトオイルの伸びは鈍化し、中東が石油生産において再び優勢になるものと予想されます。

米国はつい最近の2005年まで石油の総需要の60%を輸入していましたが、2030年代までには自給できるようになっているものと予想されます。

ガス需要は急増、石炭需要は鈍化

2035年までの期間、天然ガスの需要はアジアの需要増にけん引され、化石燃料のなかで最も急速に増加し、年率1.9%増になるものと予想されます。

増加した需要の半分は主にロシアと中東における在来型ガスの生産増により、半分程度はシェールガスで対応することができます。現在、世界のシェールガス供給量のほぼ全てを占めている北米ですが、2035年までに、米国のシェールガス生産量は全体の4分の3程度になっているとと考えられます。

石炭は、過去10年間、中国の需要にけん引され、化石燃料の中で最も伸びた燃料です。しかし『BP予測』では、今後20年間、石炭の伸びは石油をわずかに下回る年率0.8%増となり、化石燃料の中で最も伸びが鈍化すると見ています。こうした変化を引き起こす要因には次の3つが挙げられます。中国の経済成長が減速し、エネルギー集約型の成長から移行すること。米国と中国で規制や政策が石炭の利用に及ぼす影響。天然ガスの十分な供給もあり、石炭が発電に利用されなくなることの3つです。

液化天然ガス(LNG)の需要が伸び、取引の中心となる

ガス需要の増加にしたがい、地域間取引が増加するだけでなく、2020年代初めまでにアジア太平洋は欧州を上回り、ガスの純輸入量が最大の地域になると予想されます。シェールガスもまた今後伸び続けますが、これは、数年後に北米が天然ガスの純輸入地域から純輸出地域へと転換することを示しています。

取引ガス量の増加の圧倒的大部分は、増加するLNG供給量により賄われるものと予想されます。LNGの生産量は2010年代の後半に急激な増加を示し、2020年までの期間、供給量は年率8%近くの割合で増加すると予想されます。こうしたLNG生産増が意味するのは、2035年までにLNGがパイプライン経由の取引量を上回り、ガス取引形態の主流になるということです。

増加するLNG取引量は市場に別の影響も及ぼします。LNG取引量の増加により、やがては、世界のガス市場の一体化や価格統合に至るものと予想されます。また、欧州や中国などのガス消費地域に対して、ガス供給の大幅な多様化をもたらすことも予想されます。

エネルギー・フローは東へ向かう

米は今年エネルギーの純輸出地域になると予想されていますが、北米におけるエネルギー自給、およびLNG取引量の増加は、世界のエネルギー・フローにもやがて本質的な影響を与えることが予想されます。

米国における石油・ガス供給量の増加、およびエネルギー効率の改善と低成長に起因する米国と欧州における需要の低下は、アジアで続く堅調な経済成長と合わせて、エネルギー・フローをますます西から東へと変化させる要因になるものと考えられます。

二酸化炭素排出量は増加を続ける

『BP予測』では、エネルギー市場の予測や、今後最も可能性が高いと考えられる炭素関連政策の展開の方向性に基づき、2035年までの世界のCO2排出量についても検討しています。『BP予測』では、二酸化炭素排出量は2035年まで年率1%で増加、期間全体で25%増加すると予測しています。この予測では、国際エネルギー機関(IEA)の「450シナリオ」などで説明されているような、科学者が推奨する水準を大幅に上回ることになります。

二酸化炭素排出量をさらに抑制するためには、政策当局はすでに考えられている方法の他にも、大幅な追加措置を実施する必要があります。『BP予測』は、可能な選択肢の比較情報のほか、それぞれの措置が排出量に与える影響を比較した情報も掲載しています。しかし、一つだけで十分な成果をあげられる措置はなく、複数の方法を取る必要があります。このことは、世界の増加するエネルギー需要を持続可能な方法で満たすうえで、誰もがそれぞれの役割を果たすためのインセンティブとなるような、有意な炭素価格の設定につながる政策的措置を取ることの重要性を明確に示しています。

『BP予測』について、ボブ・ダッドリーは最後にこう締めくくっています「エネルギー業界が取り組む戦略や投資のライフスパンは数十年単位のものです。それだけに、そうした長期的なエネルギー市場の方向性を決める重要な動向に関して、信頼性の高い見通しを得ることは絶対に必要です。…この『BP予測』の価値が非常に高い理由も、まさにそこにあるのです」。

(訳注:「450シナリオ」とは、2050年までにCO2排出量を現在のレベルから半減させ、温室効果ガス濃度を450ppmに安定化させるシナリオ)

ご参考:

・『BPエネルギー予測』の本文や、国・地域別の補足資料のダウンロード、映像や動画などその他資料のご視聴については、ウェブサイト(www.bp.com/energyoutlook)をご覧ください。(英文のみ)


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