BPエネルギー予測2018年: エネルギー・ミックスの多様化が続き、エネルギー需要は増加

2018年2月10日
BP p.l.c.(ビー・ピー・ピーエルシー)
本日発表された最新版の『BPエネルギー予測2018年版』では、2040年までの世界のエネルギー・シフトを形成する力や、エネルギー・シフトを取り巻く重要な不確実要素について検討しています。エネルギー・シフトがどの程度のスピードで進むのか確実ではないため、今回発表された『予測』では、さまざまなシナリオ(未来図)を幅広く検討しています。
そのひとつ、低炭素社会への移行が進む「Evolving Transitionシナリオ」(発展型移行シナリオ以下、本発表ではETシナリオとする)――政府の政策や、テクノロジー、社会全体の嗜好性などが近年と同様の形や速度で進められると想定した場合――では以下のように予測されます。

・ 途上国の急成長が世界のエネルギー需要を約33%押し上げる。
・ 世界の電力構成(エネルギー・ミックス)は2040年になるころに多様化が最も進み、石油、天然ガス、石炭、非化石燃料がそれぞれ25%程度を占めるようになる。
・ 燃料源としては再生可能エネルギーが5倍増と、他の燃料源より格段に急速な伸びを示し、一次エネルギーの14%程度は再生可能エネルギーにより供給される。
・ 石油需要は、2040年までの予測期間の大半で増加するが、期間の後期では伸びが頭打ちとなり横ばいで推移する。
・ 天然ガス需要は力強い伸びを示し、石炭を追い抜き第2位のエネルギー源となる。
・ 石油と天然ガスを合わせて、世界のエネルギーの半分以上を占める。
・ 世界の石炭消費は低調に推移し、中国の石炭消費は頭打ちとなる可能性が高まると思われる。
・ 電気自動車は車両台数の15%程度を占めるまでに増加するが、利用強度が非常に高いため、乗用車の走行距離に電気自動車が占める割合は30%となる。
・ 炭素排出量は増加し続ける。つまり、過去ときっぱり決別するためには、一連の包括的措置が必要だということである。

最新版の『BPエネルギー予測』は、本日ロンドンにおいて、グループ・チーフエコノミストのスペンサー・デイル、グループ最高責任者ボブ・ダッドリーの両名により発表されました。
「BPの戦略は、エネルギー業界の著しい変化に柔軟に対応できる、適応力のあるものでなければならない。今回の『エネルギー予測』は、こうした変化のいくつかをとりあげて、どのような影響が生じ得るか検討し、当社の長期計画を策定するのに役立てている。こうした変化の結果としてどのような未来が待ち受けているのか、予測することはできないが、検討した知見を活用して未来に適応し、将来のエネルギー・ニーズに応えるうえで当社が果たす役割に備えることはできる」とボブ・ダッドリーは述べています。

「現在、エネルギー供給が十二分であること、エネルギー効率の向上が続いていることが要因となり、各種エネルギー源のあいだで競合が激しくなってきている。より少ないエネルギーでより多くのことが可能になる世界がつくられるようになると、エネルギー需要に応えるための燃料構成は、かつてなく多様なものになる」とスペンサー・デイルは語りました。

今回の『エネルギー予測』で紹介されている未来図の多くは「ETシナリオ」に基づくものですが、今後起こる可能性の高いことを予想するものではありません。紹介するシナリオでは、さまざまに異なる判断や想定によってどのような影響が生じ得るか、分析しているのです。

今回の『予測』では、複数のシナリオを検討し、燃料、分野、地域という3つの異なる観点からエネルギー・シフトについて分析しています。特に表示のない限り、以下の予測は「ETシナリオ」に関するものです。

燃料別分析

「2040年までには、石油、天然ガス、石炭、非化石燃料は、それぞれ、世界のエネルギーの25%程度を占めるようになる。エネルギー需要全体の増加の40%以上は、再生可能エネルギーによって賄われる」とデイルは説明しています。
石油需要は2040年までの期間の大半で伸びますが、期間の後期では伸びが頭打ちになります。需要の伸びはすべて、新興経済諸国によるものです。供給のけん引役となるのは、当初は米国のタイトオイルですが、中東産油国が市場シェアを伸ばす戦略を採用する2020年代後半からは、米国に代わりOPECがけん引役となります。輸送部門は引き続き世界の石油需要の中心で、需要の伸び全体の半分以上を輸送部門が占めます。輸送によるエネルギー需要の伸びの大半は、道路以外の輸送(主に、航空、海上、鉄道)とトラック輸送によるもので、自動車とオートバイによるエネルギー需要は微増にとどまります。こうしたエネルギー需要の伸びは、2040年に向かうにつれて頭打ちになって推移します。2030年以降、石油需要の伸びを支える主な要因は、非燃焼利用、具体的には、石油化学製品の原料供給として利用される石油です。

天然ガスは、2040年までの期間全体で伸び続けます。この伸びを支えるのは、急成長を続ける新興経済諸国における工業化の進展やエネルギー需要の増加、石炭からガスへの転換、北米および中東において低価格で提供される天然ガスの増加です。2040年までに、米国は世界のガス生産量の4分の1近くを占めるようになり、世界の液化天然ガス(LNG)の供給量は2倍以上に増加します。LNG供給量が持続的に増加することにより、世界中の天然ガスの供給可能量が大幅に伸び、2020年代初頭には、LNGの取引量が、パイプライン経由で異なる地域へ出荷される量を上回ります。

石炭消費量は2040年までの期間中、低調に推移します。中国およびOECD諸国での減少は、インドなどアジアの新興経済諸国の需要増により相殺されます。中国は2040年まで世界の石炭需要の40%を占め、石炭の最大市場として存続し続けます。

再生可能エネルギーは400%以上増加し、世界の発電量の増加の50%以上を占めます。この大幅増は、風力発電および太陽光発電の競争力向上により実現されるものです。2020年代半ばまでに補助金は徐々に削減され、その他の燃料に対する再生可能エネルギーの競争力は徐々に向上します。再生可能エネルギーの増加量が最も大きいのは中国で、中国の増加量はOECD諸国全体を合わせた増加量を上回ります。再生可能エネルギーの伸びにおいて、インドは2030年までに世界第2位となります。

部門別分析

発電部門は、一次エネルギー需要の増加の70%近くを占めています。発電に使用される燃料構成は重要な転換点に差し掛かっています。再生可能エネルギーは他のどの燃料源よりも記録的な速さでシェアを伸ばし、現在の7%から2040年までには25%程度に増加します。それでも、2040年までは石炭が発電に使用される燃料源の最大部分を占めることに変わりありません。

輸送部門のエネルギー需要は、輸送に対する総需要が2倍以上に増加するにもかかわらず、25%の伸びにとどまります。これは、車両の[燃料]効率の向上が加速するという証拠です。輸送部門では、代替燃料(具体的には天然ガスと電気)の普及率が上昇するにもかかわらず、石油が主たる燃料として輸送の大半を占める状態が続きます(2040年に85%程度)。

今年度版の『エネルギー予測』では、輸送部門における電気の普及率を測定する最良の方法は、電気自動車(EV)の台数と、各車両がどの程度集中的に利用されているか(以下、本発表では「利用強度」とする)、この両方を合わせて考慮することであると論じています。「ETシナリオ」では、世界の車両保有台数に占めるEVの割合は2040年までに15%程度、台数にして20億台近くのうち3億台以上に達すると見込んでいます。しかし、電気を動力とする乗用車の走行距離の割合(これは電気自動車の利用強度も考慮に入れたもの)は30%を上回ります。今回の『エネルギー予測』では、完全自動運転車とカーシェアリングの相互作用により、電気自動車の利用強度が大幅に上昇する可能性を示しています。

2040年までの期間における重要な不確実要素のひとつは、EVの販売台数がどの程度の速さで伸びるかということです。この不確実要素の統計的有意性を判断するために、『予測』では、内燃機関(ICE)を搭載した自動車の販売が2040年から世界的に禁止されるというシナリオについて検討しています。このシナリオでは、「ETシナリオ」の場合より、液体燃料の需要が一日当たり1,000万バレル程度低下していますが、それでも、「ICE禁止シナリオ」における2040年の石油需要は、2016年よりも高い水準となっています。

「EVの急速な普及により石油需要は急激に低下するという可能性は、基本的な数値による裏付けがない。[EVが]急速に普及するという点についてすら、数値の裏付けはない。ICE自動車の販売が禁止され、燃料効率の水準が非常に高くなるというシナリオにおいてさえ、石油需要は現在より2040年のほうが高くなる」とデイルは述べています。

工業用のエネルギー需要は、燃料の燃焼利用と非燃焼利用の両方を含め、エネルギー消費量の増加の半分程度を占めます。

燃料効率の向上により、工業用のエネルギー需要(非燃焼利用は除く)の伸びは鈍化します。その大半は、中国において、エネルギー集約度の低いサービスや、消費者向けセクターへの移行が進むことが原因です。中国で鈍化したエネルギー需要の伸びの一部は、インドやアフリカなど、所得が中国より低い国々へと移っていきます。

燃料の非燃焼利用、具体的には石油化学製品の原料としての利用は、石油・天然ガスの需要全体のなかで最も急速に伸びる分野です。燃料の非燃焼利用の伸び率は、他の工業用利用の伸び率の2倍近くとなりますが、一部の製品(特に、使い捨てのプラスチックや梱包材)に対する環境圧力の高まりにより、こうした製品の伸び率は以前に比べて大幅に鈍化します。エネルギーの非燃焼利用の増加の3分の2近くを占めるのは石油で、残りの大半は天然ガスが占めます。

地域別分析

エネルギー消費量の伸びの全ては、急成長を遂げている発展途上国におけるものであり、中国とインドが2040年までの世界のエネルギー需要の伸びの半分を占めます。この期間中、中国の経済成長がより持続的な成長パターンへとシフトするにつれて、中国のエネルギー需要の伸びも鈍化していきます。インドの需要の伸びの鈍化は中国ほど顕著ではありませんが、2030年代初頭までにインドは中国にとって代わり、世界で最も急成長するエネルギー市場となります。予測期間の後期になると、アフリカもエネルギー需要のけん引役としての重要性が高まります。2035年から2040年にかけては、世界の需要の伸びにアフリカが占める割合は中国より大きくなります。

炭素排出量

今回の『エネルギー予測』の「ETシナリオ」では、炭素排出量は2040年までに10%増加します。これは、過去25年間の増加率よりずっと鈍いものですが、パリ協定の枠組みを実現するために必要と考えられる急激な排出削減よりも高水準にとどまっています。

今回の『予測』では、これまでより速いペースで低炭素社会への移行が進むとする「移行加速シナリオ(Even Faster Transition scenario)」についても分析しています。このシナリオでは、国際エネルギー機関(IEA)による「持続可能な開発シナリオ」と同レベルの炭素排出量の大幅削減(2040年までに炭素排出量を50%近く削減する)を組み込んでいます。「移行加速シナリオ」と比較されるIEAのシナリオでは、追加的な排出量削減の大半は、2040年までにほぼ完全に脱炭素化される発電部門に起因するとしています。

最後にダッドリーは、「我々は、断固とした態度で過去と決別する必要がある。BPでは、引き続き、炭素価格制度(カーボン・プライシング)が不可欠な要素となるはずだと考えている。炭素価格制度は、排出削減に対して誰もが各自の役割を果たすインセンティブを与えてくれるからだ。エネルギーをより効率的に使う消費者から、提供する低炭素エネルギーの種類を増やす生産者まで、誰にとっても炭素価格制度はインセンティブとなる」と締めくくりました。
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Date: 2018年03月20日