景気後退で2009年のエネルギー消費は低下

発表日:2010年6月9日
BPは本日、2010年BP統計発表会を開始いたしました。このなかでBPは、第二次大戦以降、世界経済が初めて縮小するなか、昨年は世界的な景気後退により1982年以降初めてエネルギー消費が前年比で減少したと述べています。 

BPチーフ・エコノミストのクリストフ・ルールは次のように述べています。「エネルギー消費には景気後退から回復への動きが表れていました。2009年における世界全体の一次エネルギー消費は1.1%減少、1982年以降初めての減少となりました。OECD先進諸国における消費量は5%減少、これはGDPの落ち込みを上回るものでした。OECD諸国の昨年のエネルギー消費量は10年前より減少しました。非OECD諸国ではエネルギー消費量はGDPの増加を上回る2.7%増となりました。これは中国の成長にけん引されたものです。発展途上国へのシフトは続いています」 

統計の主要データに関して、グループ・マネージング・ダイレクターならびにリファイニング・アンド・マーケティング部門の最高責任者を務めるイアン・コン(Iain Conn)は次のように述べています。「世界のエネルギー消費量は昨年減少しましたが、これは珍しいことです。2010年のこれまでのデータでは、エネルギー消費量は再び増加に転じています。将来必要なエネルギーを供給できるようにするために、世界は今、投資を行なう必要があります。しかし、メキシコ湾での事故を見ると、一部のエネルギー資源を利用するには、作業時の安全対策の強化、ならびに環境保護策がほぼ確実に必要になるのは明らかです」

2009年には、世界の原油、天然ガス、原子力エネルギーの消費量は減少しましたが、これに対し、石炭消費量は基本的に横ばいで推移、増加したのは水力発電量とその他の再生可能エネルギーだけでした。こうしたエネルギー消費データは、エネルギー利用による世界の二酸化炭素(CO2)排出量が、1998年以降初めて減少したことを示しています。 

2009年全体では、売買されるすべての種類のエネルギーで価格が下落しました。なかでも、売買される天然ガスと石炭の価格は北米と西ヨーロッパで最大の落ち込みを示しましたが、アジアの石炭価格は、中国で輸入が大きく伸びたにもかかわらずそれほど急激に下落しませんでした。原油価格は2001年以降初めて下落しました。2009年中は、原油と石炭の価格は競争市場で年初に安値を記録しました。原油価格がまず回復しましたが、北米と西ヨーロッパでは、天然ガスのスポット価格は2009年に入ってしばらくの間下落が続きました。 

燃料の種類と地域により需要状況はさまざまですが、これに加えて、供給サイドで事情がそれぞれに異なっていることも価格動向が異なる原因となりました。原油市場では、石油輸出国機構(OPEC)が減産を続けたことで、生産量は、消費量の低下を上回る速さで減少しました。天然ガスは、ロシア、トルクメニスタン、カナダで生産量が急激に減少しましたが、その一部は、液化天然ガス(LNG)の増産ならびに米国の増産で補われました。同様に、米国では天然ガス生産量も堅調な伸びを示しましたが(3年連続で米国の伸びが世界最大)、これは特にシェール・ガスという非在来型天然ガスの供給によるものです。 

BP統計は、2009年末時点の原油確認埋蔵量を、開発が積極的に進められているカナダのオイルサンドや、公式埋蔵量が上方修正されたベネズエラの原油量も含め、1兆3,331億バレルと発表しています。世界の原油埋蔵量は、2009年レベルの生産を45.7年間維持できる十分な量があります。同様に、天然ガスは62.8年間、石炭は119年間生産を十分維持できます。

原油

2009年のブレント原油期近物の平均価格は37%下落し、1バレル61.67ドルでした。これは(パーセント・ベースで)1986年以降最大幅の落ち込みです。年初は40ドルを下回る値を付けていましたが、1年を通じて価格は着実に上昇し、11月中旬には78ドルを上回る最高値を付けました。OPECの減産が続いたこと、ならびに年度末に向けて景気が回復するとの見通しにより、値崩れは起こりませんでした。 

世界の原油消費量は日量120万バレル、1.7%減少しました。これは1982年以降で最大の減少です。OECD諸国の消費量は4.8%(日量200万バレル)減少し、4年連続の減少となりました。非OECD諸国では消費量の伸びは鈍化し、日量86万バレル、2.1%の伸びにとどまり、2001年以降で最低の伸び率となりました。非OECD諸国における原油消費量の伸びは、すべてが中国、インドおよび中東諸国によるものです。 

世界の原油生産量は消費量の減少よりも急速に落ち込み、日量200万バレル、2.6%減少し、消費量と同じくこちらも1982年以降で最大の落ち込みとなりました。2008年後半に実施されたOPECの減産は2009年全般を通して継続され、その結果、日量250万バレル、7.3%の減産となりました。2008年の減産合意に加わったOPEC加盟国はいずれも、2009年に減産を行ないました。OPEC加盟の中東諸国で、減産量全体の75%近くを占めています。 

非OPEC諸国の原油生産量は0.9%、日量45万バレル増加しました。米国の生産量は日量46万バレル、7%増加しました。米国のこの増産は昨年における世界最大の増産であり、BP統計の記録ではパーセント・ベースで米国最大の増加となります。米国以外では、ロシア、ブラジル、カザフスタン、アゼルバイジャンで生産量が増加しましたが、これは中国の減産や、生産が成熟期に達したメキシコ、ノルウェー、英国などのOECD諸国で続く減産により相殺されました。ロシアは2009年、サウジアラビアを抜き世界最大の産油国になりました。 

世界の精製能力は2009年に2.2%、日量200万バレル増加しました。これは1999年以降で最大の増加です。非OECD諸国の精製能力がOECD諸国の精製能力を初めて上回りました。精製能力の向上と消費量の減少により、世界の製油所の稼働率は1994年以降最低の81.1%にまで低下しました。

天然ガス

世界全体で、天然ガスは消費量が最も急激に落ち込んだ燃料であり、記録上最大の2.1%減となりました。中東とアジア太平洋を除くすべての地域で消費が減少しました。なかでもロシアにおける消費量の減少は世界最大で、6.1%の減少となりました(容積ベース)。OECD諸国の消費量は、1982年以降で最大の3.1%の減少となりました。 

世界の天然ガス生産量は、記録上初めて減少しました。ロシア(-12.1%)とトルクメニスタン(-44.8%)における生産量の激減は、ロシアならびに欧州の大半の地域において消費量が減少したこと、および欧州で低価格のLNGが提供されたことが要因でした。非在来型天然ガスの供給拡大が続いたため、米国は3年連続で生産量が世界最大の伸びを記録し、ロシアを抜いて世界最大の生産国となりました。

その他の燃料

2009年、世界の石炭消費は横ばいで推移し、1999年以降で年間変化が最も少ない年でした。OECD諸国(-10.4%)、および旧ソ連邦諸国(-13.3%)では、景気後退と低価格の天然ガス供給があいまって、記録があるなかで最も急激に消費量が低下しました。これ以外の地域では、消費量はこれまでの平均に近い7.4%の増加となりました。この増加の95%は中国が占めています。 

世界の原子力エネルギー生産量は3年連続で減少し、2009年は1.3%減となりました。水力発電によるエネルギー生産量の増加は平均を下回る1.5%増でしたが、それでも増加であったため、主要エネルギー源としては水力発電エネルギーが2009年に世界で最も急速な伸びを示しました。 

世界のさまざまなエネルギー源の中で、水力発電以外の再生可能エネルギーが占める割合は依然として小さいものですが、急速に成長を続けています。多くの国で再生可能エネルギーに的を絞った財政刺激策が実施されるなど、政府の支援が続いていることもあり、世界の風力および太陽光による発電容量はそれぞれ31%と47%増加しました。エタノールの生産量はこれまでの平均の半分を若干上回る8%の増加となりました。

ご参考:

BP統計はwww.bp.com/statisticalreviewでご覧いただけます。このサイトには、ハードコピー版に掲載されている図表のほか、補足データ、エネルギー統計図表化ツール、換算計算ツールなどが用意されています。