BP分析:新興国が2030年までエネルギー需要の伸びをリード、 再生可能エネルギーが石油の伸びを上回

2011年1月19日
BP p.l.c.(ビー・ピー・ピーエルシー)

BPが発表したエネルギー動向の最新予測、『BPエネルギー予測 2030(BP Energy Outlook 2030)』によると、今後20年間の世界のエネルギー需要の伸びは中国、インド、ロシア、ブラジルなどの新興国が中心となる。一方、エネルギー効率の改善が加速する見込み。

BPが最も可能性が高いと考える「基本予測(base case)」によると、一次エネルギー消費量は今後20年間で40%近く伸び、その93%が非OECD諸国(OECD=経済協力開発機構)における伸びであると指摘しています。非OECD諸国は、現在、世界のエネルギー需要の50%強を占めていますが、その割合は急速に伸び、世界需要の3分の2に達すると見込まれます。 

また今後20年間で、エネルギー集約度(GDP1ドル当たりのエネルギー消費量を表す主要指標)は、エネルギー需要が急速に増加する非OECD諸国においてエネルギー効率が急速に向上していることにより、世界的に改善されていくものと考えられます。 

『BPエネルギー予測』によると、エネルギー源の多様化の進展、非化石燃料(原子力、水力、再生可能エネルギー)、この2つを合わせて、エネルギーの伸びの最大要因になるのは初めてのことです。2010年から2030年にかけて、エネルギーの伸びに再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱、バイオ燃料)が占める割合は5%から18%に上昇する見込みです。 

化石燃料のなかでは天然ガスが最も急速な伸びを示し、石炭と石油は、化石燃料消費の伸びが鈍化するにつれて、市場シェアが縮小する見込みです。一次エネルギーの伸びに占める化石燃料の割合は83%から64%に低下すると予想されます。OECD諸国の石油需要は2005年をピークとして、2030年にはほぼ1990年のレベルに戻る見通しです。バイオ燃料は世界の運輸部門の燃料の9%を占めるものと思われます。
『BPエネルギー予測 2030』は、将来を視野に入れた分析としてBPが初めて発表するものです。これに先立ち、BPは過去60年にわたり、『BPエネルギー統計(BP Statistical Review of World Energy)』の中で信頼性の高いデータを発表してきました。 

『BPエネルギー予測 2030』を発表するにあたり、グループ最高責任者のボブ・ダッドリーは次のように述べています。「本報告が取り上げているのは、史上例を見ない成長の時代に世界経済に持続的にエネルギーを供給するという、非常に壮大な問題です。当社が持つ情報を共有し、エネルギーに関する議論の動向をお知らせすることが当社の責任のひとつであると考えます。また、目下の議論の焦点は気候変動ですので、これに関する議論の動向をお知らせすることも当社の責任でしょう」 

「生産者、政府、消費者の誰もが望むのは、妥当な価格で確実かつ持続的に供給されるエネルギーです。しかし世界全体で見ると、これはまだ願望にしかすぎません。今後20年間でこの願望を現実のものとするためには、市場志向型の賢明な政策を実施して、必要なエネルギーを管理可能な方法で供給する必要があります。しかも、経済の発展を妨げたり、世界の数十億人の人間が現在享受している生活水準の向上を脅かしたりすることなく供給されなければなりません」 

「はっきりさせておく必要がありますが、『BPエネルギー予測 2030』の基本予測はあくまでも予測であり、主張ではありません。証拠に基づき将来起こる可能性が最も高いと考えられる事柄についての、当社の客観的な考察なのです。例えば、温暖化ガスの排出量削減がどの程度進むかについて、BPは他ほど楽観的ではありません。しかし、だからといって、排出量の削減が進むことに反対しているわけではありません。ご承知と思いますが、BPは15年にわたり、二酸化炭素排出量に対する価格設定を幅広く実施すること含めて、政府に対して行動を活発化するよう求めてきました。BPの基本予測は、各国政府の現在の行動レベルならびに将来予測される行動レベルに基づくと、気候変動に対する各国の取り組みは一定の前進が続くものと考えています。しかし、私個人の意見ですが、全体的には今回の当社の予測は警鐘だと思います」

主なポイント

BPの「基本予測」では、2010年から2030年にかけて世界の一次エネルギー需要は、2020年以降は伸びがわずかに減速するものの、年平均1.7%で伸びると予測しています。非OECD諸国のエネルギー消費量は年平均2.6%で伸びて2030年までに68%増加し、世界のエネルギーの伸びの93%を占めると予測されます。これに対して、OECD諸国のエネルギー消費量は2030年まで年平均0.3%で増加しますが、2020年以降は、OECD諸国の1人当たりのエネルギー消費量は年間マイナス0.2%の減少傾向に転じます。 

運輸部門の伸びは、OECD諸国で減少するため鈍化すると予測されます。OECD諸国全体では、石油などの液体燃料の需要は2005年にピークとなり、2030年までにはほぼ1990年のレベルに戻るものと思われます。2030年頃には、中国における石炭需要の増加傾向は終わり、中国は世界最大の石油消費国になるものと予測されます。 

世界の石油生産において石油輸出国機構(OPEC)が占める割合は46%にまで上昇する見込みですが、これは1977年以降見られなかった現象です。また、米国では、石油と天然ガスを輸入に依存してきましたが、燃料効率の改善とバイオ燃料のシェア増により、輸入依存度は1990年代以後見られなかったレベルにまで低下すると予想されます。世界の消費量の伸びも、石油価格が近年上昇していることと、石油輸出国において補助金が徐々に削減されていることによる影響を受けています。 

使われる燃料の種類と量は時と共に変化しており、長期資産の寿命を反映したものとなっています。バイオ燃料を除くと、石油の伸びは年率0.6%と比較的緩やかなものになります。天然ガスは化石燃料の中で伸びが最も速く、石油の伸びの3倍以上となる年率2.1%で増加すると予測されます。石炭は年率1.2%で増加し、石炭を燃やして供給されるエネルギー量は、2030年までに、バイオ燃料を除く石油で供給されるエネルギー量と実質的に同程度になる見込みです。OECD諸国では厳格な炭素抑制政策が推進されていますが、新興国における炭素排出量の増加により、抑制された分を上回る炭素量が排出される恐れがあります。
風力、太陽光、バイオ燃料、その他の再生可能エネルギーは今後も順調に伸び続け、現在は一次エネルギーに占める割合が2%未満ですが、2030年までに6%以上になると予想されます。バイオ燃料は運輸部門の燃料の9%を賄うようになります。また、核燃料と水力発電は徐々に増加し、総エネルギー消費量における市場シェアを拡大するものと思われます。 

「運輸部門の総エネルギー需要の伸びの鈍化は、石油価格の上昇、燃料経済性の向上、成熟国で自動車が飽和状態にあること、開発途上国で税金の上昇と補助金の削減が予想されることなどと関連しています」と(BPグループ チーフ・エコノミストのクリストフ・) ルールは述べています。パーセントで言うと、石油需要の低下は発電部門で最も大きく、需要は30%落ち込む見込みです。発電部門は石油から天然ガスや再生可能エネルギーに切り替えるのが最も容易であり、温暖化ガスの排出取引を使う可能性が最も高いことが要因です。

エネルギー集約度

1900年以降、世界の人口は4倍以上に、実質所得(国内総生産で判断される)は25倍に、一次エネルギー消費量は23倍に増加しています。「現在のエネルギー経済は工業化、都市化、モータリゼーション、所得レベルの向上などの影響を受けて形成されてきました」とルールは述べています。 

GDPを基準に算出される1ドル当たりのエネルギー消費量(=エネルギー集約度)は低下し続けているだけでなく、低下するスピードも速くなっています。「当社の2030年までの予測では、このことは世界平均について言えるだけでなく、世界のほぼすべての主要国や主要地域について同じことがあてはまります。経済が成長するにつれてエネルギー効率が向上し、エネルギー集約度を低下させる方向へと構造が長期的に変化してきたことが、エネルギー集約度の低下傾向を支える基盤となっています」とルールは述べています。

非OECD諸国における需要増

世界の石油・ガス需要は、2030年には日量1億240万バレルに達する見込みです。今後20年間で、最終的には日量1,650万バレルの増加が見込まれますが、これはもっぱら非OECD諸国の新興国からの増加によるものです。「非OECD諸国における今後20年間の消費量増加の3分の2近くを、また、世界の消費量の伸びの4分の3以上を非OECDのアジアが占めると思います。これは日量1,300万バレル近くの増加となります」とルールは述べています。 

「新規供給の最大部分はOPECから供給されることになると思います。サウジアラビアとイラクにおける通常の原油、およびOPECの天然ガス液(NGL)がこれにあたります。NGLはOPECの割り当て制限を受けません」 

非OPEC諸国の石油・ガス供給量はそれほど大きく伸びないと予測されます。これは、バイオ燃料が大幅に増加すること、カナダのオイルサンド、ブラジル深海部、旧ソビエト連邦における増産が縮小するものの成熟国で続く需要低下を相殺すること、この2つが要因です。

燃料転換

『BPエネルギー予測 2030』の予測では、石油の市場シェアは長期的に低下傾向が続きますが、ガスの市場シェアは着実に伸びていきます。石炭の市場シェアは、とりわけ中国とインドにおける急速な工業化を背景に近年増加しています。しかし2030年までには減少傾向に転じ、この3種類の化石燃料(石油、ガス、石炭)の市場シェアはいずれも27%程度に収束するものと思われます。エネルギー源の多様化は、エネルギーの伸びに占める割合に最も鮮明に見ることができます。1990年~2010年は、エネルギーの伸びの83%が化石燃料によるものでした。これからの20年間、化石燃料はエネルギーの伸びの64%を占めるものと思われます。再生可能エネルギー(水力は除く)とバイオ燃料は2つ合わせて、2030年までエネルギーの伸びの18%を占めると予測されます。 

「エネルギー源は多様化が進んでいますが、これは主に、発電部門の発展が推進力となっています。発電に使われるエネルギーは、1990~2010年には一次エネルギー消費の伸びの53%を占めていましたが、今後も最も急速に伸びる部門であり、2030年までエネルギー消費の伸びの57%を占めると予測されます。最終消費については、産業部門が最終エネルギー消費を伸ばす推進力となり、運輸部門の役割は低下しつつあります。過去20年間、運輸部門のエネルギー需要は、総エネルギー需要の伸びと同じペースで増加してきました。しかし今後20年間は、運輸部門のエネルギー需要の伸びは、総エネルギー需要の伸びのペースよりずっと緩やかなものになるでしょう」とルールは述べています。 

「OECDにおける石油需要の低下は、主に運輸部門以外に集中しています。運輸以外の部門では、石油から天然ガスや再生可能エネルギーへの切り替えが比較的容易に行えるためです。2015年以降は、技術進歩や政策の推進によりエネルギー効率の向上が進むにつれて、OECDの運輸部門における石油需要が低下することも予想されます」

バイオ燃料の増加

バイオ燃料の生産量は、2010年の日量180万バレルから増加し、2030年までに日量670万バレルに達するものと見込まれます。また、今後20年間OPEC諸国以外からの正味供給量は125%増加しますが、これもバイオ燃料の生産増によるものです。政策支援の継続、原油高、続く技術革新など、すべてがバイオ燃料の急速な拡大をもたらす要因となっています。 

米国とブラジルはこの2国で2010年のバイオ燃料総生産量の76%を占め、今後もこの2国が引き続き生産の中心となります。しかし、アジア太平洋地域における生産量が増加するにつれて2国の寡占率は下がり、2030年には2国の生産量は全体の68%にまで低下します。 

世界の燃料源は引き続き多様化が進みますが、エネルギー供給量の増加が主に非化石燃料で賄われるのは初めてのことになります」とルールは述べています。

環境政策

『BPエネルギー予測 2030』は、最近の政府の取り組み動向に基づいて判断すると、気候変動とエネルギー安全保障という2つの課題に取り組むための政策的措置は継続されると予測しています。BPは、政策の引き締めにつながる政治的関与の大幅な強化がどのような影響を与えるのか評価するために、こうしたケースを想定した「政策予測」も行いました。 

「この政策予測の最も重要な点は、炭素集約度の高い燃料への依存度を低下させることです。依存度は、さまざまな方法で炭素に価格を設定するなど、政策手段を幅広く実施することで低下させることができます」とルールは述べています。 

BPの政策予測の中で、ルールは次のように述べています。「世界の温暖化ガス排出量は2020年を過ぎたころに最大となりますが、その後も、2005年レベルを20%上回る排出量が続きます。排出量の推移は、国際エネルギー機関が発表した『450シナリオ』1を大きく上回ることが予想されます。つまり、2030年以降世界を『安全な』軌道に乗せるためには、さらに大きな努力が必要になるということです」 訳注:『450シナリオ』=平均気温上昇を2℃にとどめるため温室効果ガス濃度を450ppm以下で安定させるというシナリオ。2009年11月に国際エネルギー機関が発表した年次リポート『World Energy Outlook 2009』の中で、このシナリオに言及している。 

BPの政策予測では、排出量の削減は、エネルギー効率の上昇をさらに急速に進めること、燃料転換を進めること(石炭から天然ガスへ、化石燃料から原子力、水力、再生可能エネルギーへ)、石炭発電所ならびにガス発電所に対する二酸化炭素の回収・貯留(CCS)の導入、この3つを合わせて進めることで実現できると考えています。

ご参考:

『BPエネルギー予測 2030 (BP Energy Outlook 2030)』は当社のウェブサイトでご覧いただけます。(www.bp.com/Energyoutlook2030)

将来を視野に入れた記述に関する注意事項:

本発表には将来を視野に入れた記述、とりわけ世界経済の成長、人口増加、エネルギー消費、再生可能エネルギーに対する政策支援、およびエネルギー供給源に関する記述を含んでいます。将来を視野に入れた記述にはさまざまな事象が関連したり、今後予定されている事柄や将来起こる可能性がある事柄次第で変化したりするため、リスクや不確実性が伴われます。したがって以下のようなさまざまな要因次第で、実際の結果は異なって来る可能性があります。製品の供給;需要と価格設定;政情の安定;経済全般の状況;法律および規制内容に関する新たな情勢;新技術の利用状況;自然災害および天候不順;戦争およびテロあるいは破壊活動;その他、この発表内で取り扱った諸要因。