BP統計発表

世界のエネルギー・システムが 変化する世界情勢への適応を進めるなか、 米国の石油生産の単年増加は最大となる

発表日: 12 June 2013
毎年発表されてきました『BP統計(BP Statistical Review of World Energy)』は、今年で62回目となりますが、その2013年版が本日発表されます。2012年は、米国の石油生産における単年増加量が過去最高を記録するとともに、世界のエネルギー・システムには地球規模の急速な変化に適応できる柔軟性があるという新たな証拠が示された年でした。
2012年、米国は、タイトオイルなど非在来型炭化水素の生産量が増加したおかげで、石油および天然ガスの生産で世界最高の伸びを記録しました。これは、グローバル市場が順応・革新・進化を続ける中でエネルギー源の多様化が進んでいる一例です。米国では天然ガスの生産量増加により価格が押し下げられたため、発電では天然ガスが石炭にとって代わり、その結果、米国では石炭消費量の低下が世界最大となりました。 

このほかには、2012年は世界の原子力発電量の年間減少が最大となりました。日本では、2011年の福島原発事故後、原子力発電がほとんど姿を消し、液化天然ガス(LNG)を含む化石燃料の輸入増で「発電が続けられて」きました。ガス価格が米国より高いヨーロッパでは、発電部門では米国と逆に、石炭が天然ガスにとって代わりました。 

「エネルギー業界にいるわれわれにとって、課題は、現在起こっている大きな変化、つまり新興国への需要シフトや、非在来型資源を含め、エネルギー源のさらなる多様化に向けた供給面における変化にどう対応するかです」とグループ最高責任者のボブ・ダッドリーは述べています。 

「データは、利用できるエネルギーが豊富にあることを示しています。一業界として私たちが抱える課題は、投資先についてベストの選択をするということです。私たちは、業界の安泰と自由競争をともに担保できる方法でエネルギーを供給したいと考えています。つまり、私たちの強みをうまく生かす一方で、リスクを減らしコストを管理するということです」。 
今回のエネルギー統計では、世界のエネルギー消費の伸びが、2011年の2.4%から、2012年には1.8%に低下したことも明らかにされました。原因の一つに景気後退がありますが、個人消費者や企業が、高いエネルギー価格に対して、エネルギーの利用効率の改善によって応じたことも消費の伸びが低下した原因です。新興国、つまり経済協力開発機構(OECD)の非加盟国は、中国とインドの2カ国だけで需要増の90%近くを占めており、需要増加とみられる事象の原因であることがはっきり確認されています。わずか2年前、新興国は世界全体の消費の42%を占めるに過ぎなかったのに、現在は56%を占めているのです。
2年連続して、アフリカおよび中東で発生した石油供給の混乱は、中東のその他の産油国における増産(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタールにおいて過去最高の生産量を記録)により相殺されました。こうした供給増加にもかかわらず、石油の平均名目価格は今年もまた最高を更新しました。 

中国が初めて世界の石炭の大半を消費し大消費国となった現状では、石炭は前年に続き、消費が最も急速に伸びた化石燃料となりました。しかし同時に、石炭は、過去の平均消費量に対する増加の伸びが最も低かった化石燃料でもあります。 

水力と再生可能エネルギーは(北米の安価な天然ガスとともに)、発電で石炭と競合しました。世界のバイオ燃料の生産量は、米国における生産減少により、2000年以降初めて低下しましたが、発電における再生可能エネルギーは15.2%増加し、世界全体の発電量に占める割合は過去最高の4.7%を記録しました。 

エネルギー利用による世界の二酸化炭素(CO2)排出量は、2012年も引き続き増加しましたが、増加のペースは2011年よりも鈍化しました。米国では、石炭使用量の減少も一因となり、CO2排出量は1994年レベルに低下しました。ヨーロッパでは、発電部門で石炭が天然ガスから市場シェアを奪ったにもかかわらず、CO2排出量は減少しました。 

「2012年もまた、『変化するエネルギー環境への適応』が特徴となった一年でした」とBPチーフ・エコノミストのクリストフ・ルールは述べています。「非OECD諸国では工業化が進むにつれて、かつてないほど大量の資源が利用されるようになっています。データによると、世界の新興諸国は、確認埋蔵量の増加という点でOECD諸国に勝っているだけではありません。エネルギー生産の面でも相応の貢献をしているのです」。

BP統計の主要ポイント-エネルギー動向

• 2012年、世界の一次エネルギー消費量は1.8%増加したが、この数字は過去10年平均の2.6%を大きく下回っている。

• 米国の消費量2.8%減に引っ張られて、OECD諸国の消費量は1.2%低下した(容積にして、米国が世界最大の低下)。

• 非OECD諸国の消費量は4.2%伸びたが、これは過去10年平均の5.3%を下回っている。

• すべての化石燃料および原子力エネルギーについて、世界全体の消費量の伸びは平均を下回った。地域別では、アフリカ以外のすべての地域で消費の伸びは平均を下回った。

• 石油は世界のエネルギー消費量の33.1%を占め、依然として世界で最も重要な燃料である。しかし、石油は13年間連続で市場シェアを失い、現在の市場シェアは、BPが統計を取り始めた1965年以降最低である。

石油

• 2012年、ブレント原油スポット価格は1バレル当たり平均111.67ドルとなり、2011年からバレル当たり0.4ドル上昇した。

• 世界の石油消費量は89万バレル/日、0.9%増加したが、これは過去の平均を下回っている。

• 石油は、化石燃料の中で、3年連続で世界消費量の伸び率がもっとも鈍かった。OECD諸国の消費量の減少は過去7年で6回目を数え、1.3%(53万bpd)の減少となった。現在、OECD諸国の消費量は世界全体の消費量の50.2%を占めるにすぎず、史上最低の割合である。OECD諸国以外では消費は伸び、140万bpd (3.3%)の増加となった。

• 中国は2012年も、消費量が47万bpd(5%)増加し、世界消費量の伸びに占める割合が最大となったが、伸び率は過去10年の平均を下回った。日本の消費量は1994年以降最大の伸びとなる、25万bpdの増加(6.3%増)であった。

• 世界の石油生産量は190万bpd(2.2%)の増加となった。石油輸出国機構(OPEC)は、国際制裁によりイランの産油量が68万bpd低下したにもかかわらず、世界全体の増産量の4分の3を占めていた。リビアは生産拡大(100万bpd増)により、2011年に原油生産が受けたダメージをほぼ100%回復した。

• 2年連続で、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタールでは生産量が記録的水準に達した。イラクとクウェートでも大幅な増産があった。

• 非OPEC諸国の生産量は49万bpd増加した。米国(100万bpd増)、カナダ、ロシア、中国における増産により、スーダン/南スーダンとシリアにおける予期せぬ供給停止(それぞれ34万bpd減と16万bpd減)、および英国やノルウェーの成熟油田における生産減衰が相殺された。

• 米国の石油の純輸入量は93万bpd低下し、現在は2005年のピーク時を36%下回っている。逆に、中国の石油の純輸入量は61万bpd増加した。

天然ガス

• 世界の天然ガス消費量は2.2%増加したが、これは過去の平均の2.7%を下回っている。

• ガス消費量の伸びは、中南米、アフリカ、北米では過去10年の平均を上回った。北米ではアメリカ合衆国が4.1%増と世界最大の伸びを記録した。アジアでは、中国(9.9%増)および日本(10.3%増)が、北米に次ぐ消費量の伸びを示した。世界全体では、天然ガスは一次エネルギー消費量の23.9%を占めた。

• 世界の天然ガス生産量は1.9%増加した。米国(4.7%増)は2012年もまた、容積にして最大量の増産を記録し、世界最大の天然ガス生産国にとどまった。ノルウェー(12.6%増)、カタール(7.8%増)、サウジアラビア(11.1%増)でも生産量は大幅に増加したが、その一方で、ロシアでは生産量が2.7%減少し、容積にして世界最大の減産となった。

• 世界の液化天然ガスの取引は史上初めて減少したが(0.9%減)、一方、パイプライン経由の取引はわずかに増えた(0.5%増)。

その他の燃料

• 2012年、石炭消費量は2.5%増加したが、これは過去10年の平均値4.4%を大きく下回るものであった。しかし、石炭は依然として消費が最も急速に伸びている化石燃料である。

• 世界の石炭生産量は、中国とインドネシアにおける生産の伸び(それぞれ3.5%増と9%増)が米国の減産(7.5%減)を相殺し、全体として2%の伸びとなった。世界の一次エネルギー消費量に石炭が占める割合は、1970年以降最高の29.9%に達した。

• 世界の原子力発電量は6.9%落ち込み、2年連続で最大の減少となった。日本の原子力発電量は89%減少したが、これは世界全体の減少の82%を占めている。原子力発電量が世界のエネルギー消費に占める割合は、1984年以降最低の4.5%であった。水力発電量は平均を上回る4.3%の増加となった。水力発電量の純増のすべては中国によるものであった。

• 再生可能エネルギー源では、2012年の結果はさまざまであった。世界全体のバイオ燃料生産は、米国における減産(4.3%減)により、2000年以降はじめて減少した(0.4%減)。その一方、発電に使われた再生可能エネルギーは、過去の平均を若干上回る15.2%の増加となった。

• 再生可能エネルギーが世界のエネルギー消費量に占める割合は、2002年の0.8%から伸びて、2.4%となった。一方、再生可能エネルギーによる発電量が世界の発電量に占める割合は、過去最高の4.7%となった。